事業承継税制について

  

※自社株評価が高い優良法人は、事業承継税制及び特例事業承継税制を利用してはいけない。

 

子供間において、大きなトラブルとなり、会社においてはお家騒動となる。

 

結果的に、利用したが為に、さらなる納税負担が、生じる可能性が大きい。

 

 

 

※事業承継税制および特例事業承継税制は、納税の猶予を前提とした制度であり、納税の免除が前提の制度ではないという認識が必要。

 

 

 

特例事業承継税制は、時限立法であり、既存の事業承継税制の制度と併存している。従って、次の世代への事業承継時には、特例制度が存在していない可能性が高い。

 

そうなれば、免除対象となるのは、発行済み議決権株式総数の3分の2となり、相続税は80%までしか猶予・免除されないことになります。

 

発行済み議決権総数のすべてが、事業承継の対象となっている場合は、次の世代に自社株を継承するときには、相続税の約半分は、必ず納める必要があるということになります。

 

 

 

※事業承継税制の落とし穴

 

 

 

◇後継者以外の相続人の納税資金の負担が大きくなる。

 

 

贈与税は猶予されているだけで、いざ相続となれば、自社株を他の財産に加えて、全部一緒に相続税を計算することになります。

 

相続税の納税猶予を使っても、猶予されるのは自社株の部分の相続税だけで、自社株を相続しない他の兄弟には、自社株を含めた課税遺産総額が膨れ上がり、不相応に高額な納税を強いられる事態になります。

 

 

 

自社株を相続しない他の兄弟は、その相続税の負担額におおきな差が生まれ、相続人間で、紛争が生じる可能性が高い。

 

 

 

◇事業承継税制及び特例事業承継税制は、租税特例措置法上に規定されたもので、税法上の制度です。

 

 

 

相続の遺産分けは、民法に規定があり、遺産分けの結果に対して、税法における納税額が決まります。

 

兄弟間の遺産分けには、税法の入る余地はありません。遺産分けで「もめれば」民法における相続裁判になります。

 

事業承継税制も特例事業承継税制も、他の兄弟に対しては、何らの強制力もありません。

 

もめて裁判となれば、自社株の評価額も問題となります。優遇された類似業種比準価格なのか、正味の財産価格を表す純資産価格なのか、泥沼の裁判においては、事業承継税制は、何ら関係がありません。

 

 

 

従って、事業承継税制も特例事業承継税制も、これを単独で利用することは、親が「もめさす」原因を作ったことになります。

 

 

 

◇事業承継の本件の制度は、税法の特例と民法の特例の二つのセット商品です。

 

遺言等における遺留分侵害という民法の特例を活用する制度と、非上場株式に係わる贈与税・相続税の納税猶予制度の二つを合わせた制度設計なのです。

 

 

 

経営承継円滑化法に定められた民法の特例、自社株の遺留分の相続放棄(除外合意)と遺留分の株価を固定する(固定の合意)を、放棄する人自身が、家庭裁判所で手続きを取るという制度は、現実的ではない。

 

 

 

事業と関係の無い範囲内で、公平・平等に相続を受けたいと思うニーズが満たされることは無い以上、兄弟間の大きなトラブルとなります。

 

 

◇事業承継税制は、贈与税や相続税を、ただちに免除するものではありません。

 

相続が始まる、あるいは次の世代に贈与するまでは、免除されずに、ただ猶予されることだけになります。

 

 

 

この税制には、多くの納税猶予の取り消し事由があります。申告期限から5年以内(経営承継期間)の取り消し事由。

 

申告期限から5年を経過した後も残る取り消し事由。

 

 

 

新税制を適用するための都道府県への報告や、税務署長への継続届け書を怠るなど、交渉の余地無く機械的に取り消しとなる。

 

従って、大きな事務負担コストがかかる。

 

 

 

◇納税猶予を受ける為には、非上場会社の自社株の担保提供が必要です。

 

会社の体制や株式の発行形態に変更を行うことが困難になるとともに、ケースによっては、税務署長から担保を増加するよう要求される場合も考えられる。

 

 

 

また、担保提供である以上、納税猶予が取り消され、その際において税金が払えなければ、担保権が実行される恐れも生じる。

 

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